前立腺がんに対する陽子線治療 有害事象が少なく、根治が可能な放射線療法
秋元哲夫 国立がん研究センター東病院副院長
放射線治療科科長・粒子線医学開発分野長
(2018年1月)
质子治疗是一种可以根治前列腺癌且副作用最小的放射线疗法
秋元哲夫 国立癌症研究中心东医院副院长
放疗科主任、粒子线医学开发领域负责人
(2018年1月)
「若い人にとって陽子線治療は良い治療だと思いますし、高齢者にとっても負担が少なく効果が期待できる良い治療です」と語る
秋元哲夫さん
“质子治疗不仅对年轻人来说是一种非常好的治疗手段,对老年人来说也是一种负担最小且效果值得期待的治疗手段。”
——秋元哲夫
経過観察(watchful waiting)、ロボット手術(ダヴィンチ)、高精度放射線療法、小線源療法、粒子線治療(陽子線、重粒子線)。早期であれば、治療の選択肢が豊富なのが前立腺がん。中でも近年、患者にとって負担が少なく、かつ効果が高く、合併症も少ないと注目されているのが粒子線治療だ。粒子線治療には、陽子線治療と重粒子線治療がある。
定期观察、机器人手术、高精度放疗、粒子植入疗法、粒子线治疗(质子、重离子),对于早期的前列腺癌来说,治疗方式的选择是多种多样的。其中,近几年来备受瞩目的就是患者负担小、效果明显、并发症少的粒子线治疗。而粒子线治疗又分为质子治疗和重离子治疗。
そうした中、陽子線治療をその黎明期(れいめいき)から実施してきた全国の11施設が、将来の保険適用治療を目指して(※2018年4月に保険収載が見込まれている)、過去から蓄積した治療成績を集計した後向き研究を行い、昨年(2017年)横浜で開催された「第55回日本癌治療学会学術集会」でその結果を発表した。
为了将质子治疗纳入保险适用的治疗范围(※预计2018年4月纳入保险范围),(日本)全国范围内最初开展质子治疗的11家机构,将以往积累的治疗成绩进行了统计性研究,并于去年(2017年)在横滨举办的“第55届日本癌症治疗学会学术大会”上发表了研究结果。
この研究の一員で、全国で最も多い陽子線治療数を誇る、国立がん研究センター東病院放射線科科長の秋元哲夫さんにその内容をうかがった。
作为研究人员之一的秋元哲夫先生,同时也是(日本)全国范围内质子治疗案例数最多的国立癌症研究中心东医院的放射科主任。
病巣で最大のエネルギーを発揮
在病灶处能够释放最大的能量
粒子線治療は、従来のX線治療の光子線とは異なる粒子線を利用した治療で、陽子線治療と重粒子線治療がある。陽子線は水素の原子核である陽子を高エネルギーに加速した放射線で、重粒子線は炭素線による放射線治療。
与传统的采用光子射线进行治疗的X射线治疗不同,粒子线治疗采用的是粒子射线,分为质子射线和重离子射线两种。质子射线是氢离子(氢原子的原子核)通过高能加速后形成的放射线,而重离子采用的是碳离子。
いずれも一定の深さで急激にエネルギーを放出するブラックピークを特徴とし、病巣で最大のエネルギーとなり、効果的に病巣を叩き、正常細胞では極力線量を抑えることができる、メリットの多い治療だが、先進医療として、実費で約290万円(陽子線治療)、約350万円(重粒子線治療)と高額なことが唯一のデメリットだ。
无论质子还是重离子,都拥有在到达一定深度后瞬间集中释放能量形成布拉格峰的特性,不仅能够在病灶处释放最大能量、有效杀灭病灶,同时还能够最大限度的保护正常细胞。作为优点众多的先进治疗方式,其唯一的劣势就是实际治疗费用分别高达290万日元左右(质子治疗)和350万日元左右。
全国の実施施設の治療状況
(日本)全国范围内的治疗情况
本研究は、兵庫県立粒子線治療センター、筑波大学附属病院、名古屋市立西部医療センター、札幌禎心会病院、静岡県立静岡がんセンター、国立がん研究センター東病院、総合南東北病院、メディポリス国際陽子線治療センター、福井県立病院、相澤病院、北海道大学医学部附属病院の11施設で、2008年1月から2011年12月にかけて陽子線治療を実施した限局性前立腺がん(T1c-3bNOMO)治療成績を評価した。
本次研究对兵库县立粒子线治疗中心、筑波大学附属医院、名古屋市立西部医疗中心、札幌祯心会医院、静冈县立静冈癌症中心、国立癌症研究中心东医院、综合南东北医院、medipolis国际质子线治疗中心、福井县立医院、相泽医院、北海道大学医学部附属医院,共计11家机构在2008年1月至2011年12月期间,实施质子治疗的局限期前列腺癌的治疗成绩进行了评估。
登録数は1,302例で、去勢抵抗性がんなどいくつかの要因により11例除外し、1,291例について調査した。解析対象の内訳は、NCCNのリスク分類による低リスク群(T分類T1〜T2a・前立腺特異抗原(PSA)10以下・グリソンスコア6以下)が215例、中リスク群(T分類T2b〜T2c・PSA 10〜20またはグリソンスコア7)が520例、高リスク群(T分類T3a(一部超高リスクT3bも含む)・PSA 20以上またはグリソンスコア8〜10)が556例であった。
登记案例1302例,除去11例去势抵抗性癌等因素的案例之外,对剩余的1291例进行了调查。解析对象的清单按照NCCN的风险分类方式进行,其中低危群(T分类T1~T2a、前列腺特异抗原PSA10以下、Gleason评分6以下)215例,中危群(T分类T2b~T2c、PSA 10~20或Gleason评分7以下)520例,高危群(T分类T3a(含部分超高危群T3b)、PSA 20以上或Gleason评分8~10)556例。
年齢の中央値は68歳(39〜92歳)で、生存例の観察期間中央値は69カ月(7〜107カ月)。
平均年龄为68岁(39~92岁),对生存者的平均观察时间为69个月(7~107个月)。
治療は、低リスク群では84%に陽子線単独療法を施行。中リスク群では53%で陽子線単独、36%で治療前の内分泌療法(中央値6カ月)が併用された。高リスク群では、陽子線単独が12%、治療前の内分泌療法併用が49%、陽子線治療前後の長期間にわたる内分泌療法併用が37%に実施された。
低危群中84%的患者单独采用质子治疗。中危群中53%的患者单独采用质子治疗,36%的患者在质子治疗前联合内分泌疗法(平均6个月)。高危群中12%的患者单独采用质子治疗,49%的患者在质子治疗前联合内分泌疗法,而37%的患者选择在质子治疗前与治疗后长期联合内分泌疗法。
線量分割については、99%の症例で1回2グレイ(Gy)の通常分割照射で総線量70〜82Gy(中央値74Gy)が照射された(17例については1回3Gy(総線量63〜66Gy)の寡分割照射法が用いられた)。
关于剂量分割,99%的案例采取1次2戈瑞(Gy)的传统分割方式,照射总剂量为70〜82Gy(平局74Gy)。(其中17例采用1次3 Gy、总剂量63〜66Gy的大分割照射法。)
晩期有害事象の5年累積発生率は5%未満
晚期副作用的5年累计发生率低于5%
治療結果は、リスク別の5年全生存率、生化学的非再発率おいて、それぞれ低リスク群では98.4%、97.0%。中リスク群では96.8%、91.1%。高リスク群では95.2%、83.1%であった。
治疗结果按照危险级别划分,其5年生存率与生化学的非复发率分别为:低危群98.4%和97.0%;中危群96.8%和91.1%;高危群95.2%和83.1%。
多変量解析では生化学的非再発率に関する予後不良因子は、T3およびグリソンスコアが8以上(つまり高リスク)という結果だった。また、グレード2以上の晩期有害事象の5年累積発生率は、消化器系で4.1%、尿路系で3.9%といずれも5%未満だった。
通过多变量解析可以看出,T3以及Gleason评分在8以上(高危群)的,正是与生化学的非复发率相关的影响预后效果的因素。另外,2级以上的晚期副作用的5年累计发生率分别为,消化系统4.1%、泌尿系统3.9%,均低于5%。
秋元さんは「これらの結果から、前立腺がんに対する陽子線治療は、有害事象が少ないうえ、根治が可能な放射線療法であるということが示されました」、「やはり、IMRT(強度変調放射線療法)や小線源療法、そしてダヴィンチによる手術の数が圧倒的に多いのが現状ですが、技術的には陽子線治療の効果が徐々にわかってきていますので、今後はさらに普及していくことを期待しながら治療を行っています」と述べている。
秋元院长认为:“通过以上结果可以证实,质子治疗是一种可以根治前列腺癌且副作用最小的放射线疗法。虽然现阶段IMRT(调强放疗)、粒子植入治疗、达芬奇手术的数量占据压倒性的优势,但是在技术方面,随着质子治疗效果的逐渐显现,在今后的治疗过程中将会得到进一步的普及”。
リスク分類と合併症の有無を検討して適応を判断
根据风险级别和有无并发症来确定适应症
限局性の前立腺がんでは、冒頭で述べたとおり、治療の選択肢が多いが、個々の治療の優劣についてはその比較はないため、どの治療を適応するかの判断はなかなか難しい。「どの治療を選択してもほぼ90数%根治に向えるというデータがありますので、適応については、リスク分類と合併症の有無などを慎重に検討して、患者さんに詳細に説明することによって治療を決めていくことが大切です」
如本文开篇所述,针对局限期的前列腺癌来说可以选择的治疗手段是很多的,且各种治疗手段没有明显的优劣,因此判断哪种治疗方式更合适是比较困难的。因为无论是哪种治疗方式,基本上都有90%以上的根治率,所以需要对风险级别以及是否有并发症等等情况进行慎重讨论,并向患者做出充分的说明之后,再决定采取哪种治疗方式。
高リスクになると、被膜外浸潤、さらには精嚢(せいのう)への浸潤といった症例もあるため、その場合は手術選択見送られることが多いが、低・中リスクに関しては、どの治療を選択してもほぼその効果は変わらない。
如果是高危群体,浸润到包膜外、或是浸润到精囊的话更多的会采取手术的方式,而对于中、低危群体来说,无论选择哪种治疗,效果都相差不大。
「ただし、高齢者では手術はきついでしょうし、手術は尿漏れや性機能障害などの合併症の可能性が否めませんから、それらを考慮すると放射線療法のほうが患者さんのQOL(生活の質)にとっては良いと思います。
对于高龄人群来说,手术不仅很痛苦,而且不可否认会出现漏尿、性功能障碍等等并发症,所以综合考虑的话选择放射线治疗对于患者的QOL(生存质量)是最好的。
文章来源:https://gansupport.jp/article/cancer/prostate/16178.html